邪魔者が私の指定席を占領している。
猪口才
「そこ、私の場所なんだけど。」
「名前でも書いてあるの?」
学ランに刻まれた「T」の数字に釘付けになる。
こいつ下級生かよ。おのれ、猪口才な。
サボり常習犯のはたびたびココを訪れる。
「君、名前はなんて言うの。」
「自分から名乗れば?」
表に現れそうな苛立ちをグッと押さえて自ら名乗る。
「よ。」
「ふーん。…じゃ。」
「あぁ!待て待て、一年のチビ。」
そっちも自己紹介ぐらいしろ、と襟ぐりを掴んだ。
一応、このチビより大きいは165pある。チビは見たところ150pくらいか。
「答えるまで帽子返さないわよー。」
「…にゃろう。」
Fの文字が入った白いキャップを、チビが手の届かないところまで高く上げた。
帽子の下にはどこかで見たことあるような顔。誰だっけ?
「越前リョーマ。」
「あ!テニス部の…!」
リョーマは思いきりジャンプして帽子を奪い返すと屋上から出ていった。
(なんだ。届いたのか…)
あいつがウワサの超ルーキー。
「メチャクチャ生意気じゃん。」
それは彼にとって、最高の褒め言葉。
−Fin−
(2007/12/21)