「こら!おーきーろー!」

 

大安

 

「なんだよ〜。俺眠いんだよ…」

バチッ バチッ ボコッ

はジローの目覚まし係だ。今年からそうなった。
だから今年からジローは両頬に紅葉の跡が絶えない。
ひどいときには違う箇所に手が出る足が出る。今日は、その酷い日。

「痛いってばぁー…」

といいつつすぐ睡魔に襲われるジローに、はいい加減腹が立ってきた。
いつもなら樺地がいるので全く苦労せずにこの荷物は運んでいけるのだが、今日に限って樺地はいない。

「なんなのよ、家の用事って。」

と言いつつは縄を持ってきてジローを縛り上げた。

「このまま引っ張っていって、テニスボールでねらい打ちしてもらうか。」

力を入れて縄を引っ張った。人一人は、やはり重い。
やっとのことで2〜3m引っ張ったら、急に縄が軽くなった。
おかげでは前へバタリと倒れてしまった。

「いった…、な、こ〜い〜つ〜!!!」

さっきちゃんと縛ったはずのジローは、素晴らしい寝返りで縄から出て、定位置に戻っていた。
それをみたは縄を放るとポケットからMDプレーヤーを取り出し、イヤホンをジローにつけた。

「みてろよ、ジロー。」

は大好きなrock系の(とてもうるさい)曲をセットすると、音量を最大にして再生した。
イヤホンから、音はあふれ出ていた。

「これだけやればいくらジローでも…」

と思ったが、ジローは全く起きない。
そればかりか寝返りを打って、イヤホンがはずれてしまうのだ。

「くっそぉー!何で起きないの〜?」

次の手は…と考えるが、どうにも思いつかず、その場に足を伸ばしてへたり込んだ。
近くにあった猫じゃらしをとって、ジローのほっぺたの辺りでふわふわと動かした。

「いいなぁ、こいつは寝てばっかで。」

そう言ったとき、ジローは目をうっすらと開けた。
だが、はそれに気がつかなかった。

(よし、いまだ。)

ジローはさっとに近寄った。

「うわ、ジロー起きてたの?!どいてよ!」
も寝たらぁ?」
「ほらー、また怒られるよ?か・ん・と・く・に!あと、跡部にも。」

はひざ枕を余儀なくされた。いくら言ってもジローは聞かなかった。

「めったにない膝枕の方が大事…」

ジローはそう言うと再び眠った。

「…私、知らないからね。」

ジローは気持ちよさそうに眠っていた。

 

−Fin−

 

(2005/12/14)