「ねぇ、仁王。」
「何ぜよ。」
「普段何考えてるの?」

 

suppleness

 

身体が深深と冷える季節。
温暖化の影響か、空は冷えきらず、水滴がそのままの状態で降り注ぐ。

「んー、そうじゃのぉ…昼飯。」
「あんまり食べないくせに。」

仁王は食えない男だ。腹の底がまるで見えない。底なし沼のよう。
流石私立と言うべきか、教室は暖房が効いていて、暖かい。
だが足下までは届かず、肌寒いままだ。
そこでは自前の膝掛けを腰に巻いて暖をとっている。

「あぁ〜、寒い。」
「上着貸しちゃろうか。」
「結構。生暖かいのはイヤ!」
「プリッ」
「どうして怒るの…」

何を考えているのだか。やはり理解の外にある。
、遠くから呼ぶ声がした。

「先生が呼んでるよぉー」

今行きまーす。返事をするとは席を離れてしまった。
仁王の元には代わりに珍しい奴が現れた。

「何しに来たぜよ、柳。」
「非常に興味深い話題があがっていたのでな。仁王の思うことは何か、是非知りたい。」

わざわざ別の教室からやってくるとは…ある意味、執念に似たものを仁王は感じた。
そしてヒトコトこう言った。

「ラブじゃ」
「…やけに素直だな。」
「気が向いただけナリ。」

窓の外に目を向けた。
雨はいつの間にか姿を変えていた。

「お、六つの花のおでましじゃ。」

あとで、あいつと見んといかんぜよ。ラブじゃからの。

 

−Fin−

 

(2008/01/06)