Everybody's business is nobody's business.
共同責任は無責任
カルメ焼き
今日は理科の実験です。
誰とやるのかなー…ゲッ。バネ…バネだよ。クロバネ…
ゴキブリみたいな名前しやがっ…いけませんね。抑えて、抑えて。
でも一回叫びたくなるのよね。チャバネーって。
あ、こっち向いた。て、テレパシー??え、やだ。
『ゴキブリと話ができる女』なんて呼ばれたくない!
「おい、。実験の仕方聞いてたか?すっごい悩んでる顔してたぞ。」
「べ、別に何っにも悩んでませんけど。やり方も聞いてます。」
あぁー、この学校は何で「下の名」でみんな呼ぶのかしら。ゴキ…(以下略)
えーっと、まずガスバーナーに火をつけて、このおたまみたいなものに砂糖を入れて…
なんだ、簡単じゃない。
「砂糖こぼすなよぉー。」
「バネさんに言われなくてもちゃんとしてますぅー!」
砂糖がだんだん溶けていく。
120℃になったら重曹をいれるんだっけ?
砂糖の色は茶色くて、なんだかさっき忘れてたゴ…みたい。
とろとろした本物はみたくないし、食べたくもないわ。
「そろそろじゃねーか?」
はっとして砂糖を混ぜていた割り箸に付属する(というよりは無理矢理くっつけている)温度計を見る。
「あ、119℃だ。もういいかな。」と言いつつ重曹を砂糖に混ぜた。
「ま、まて!」
時すでに遅し。重曹は火から下ろしたゴ…もどきの上にかけられた。
ここからは思いっっっっっきりミキサーのごとくかき混ぜなければならないので、呼び止めるバネの声を無視して混ぜ合わせた。
が。
「あ…あれ?」
一瞬はふくらんだものの、そのまましぼんで、ゴキブリ色。
「だから言ったのに…。」
「え、なんでしぼむのよー!!」
「温度は120℃じゃなくて、125℃から130℃だろ。」
「たった5℃じゃない。」
「されど5℃だ。」
「砂糖がふくらまなくて、さっとう(卒倒)…プッ。」
「うるせぇ!このダビデがっ!!」
−ボコッ−
「バネさん、痛い…」
横からの冷やかし混じりのダジャレにバネさんがいらいら。
軽く聞き流しながらこびりついたねっとりしている砂糖を落とす。…なかなかとれない…。
「排水溝のぬめりみたい。」
次はバネさんがチャレンジです。
周りではおいしそうに食べているダビデがこっちを見ています。
「カルメ焼きはサクサクかるめらぁ。(かめるなぁ)」
「苦しいぞダビデ、俺がつっこめないときに言うんじゃねぇ!」
そういっている間に、もう120℃を超えました。火力強いんじゃ…。
「、重曹!」
「は、はい!」
さっと重曹を入れてかき混ぜる。…あっ…おぉ…!おぉー!!!
「おぉー。」
「…お前、『おぉー』しか感想がないのか。」
はっ、しまった。
心の叫びが口にでてしまった。
「た、食べよ、食べよ!」
おたまもどきからカルメ焼きをペリッとはがす。
山吹色で、穴がプツプツ開いている。
サクッとたべたら、甘〜い味が口の中に広がった。
「おいし…。バネさん、上手上手。」
「混ぜただけなんだがなぁ…。」
それはごもっともな話。原材料は砂糖のみ。
食べていると、急に失敗した茶色の砂糖を思い出した。
(ふくらんで色は変わってるけど、失敗したやつをバネさんが食べたら…共食い?ゴキ…の??)
はちょっと気持ち悪くなって食べる気が失せた。
−Fin−
(2007/01/31)
それいけバネさんシリーズ