彼女は立っていた。
五月雨の夜に
ただ、ひたすら待っていた。暗い、怖い、雨音のみ響く道路の片隅で。
戸の内側は近くて遠い。外灯の光を見つめながら、自分に降り注ぐ雨音を聞きながら。
戸の開く音がした。顔を逸らしつつも桃城はそちらの方を見た。
「あ、!どうしたんだよお前。」
*
「はい、タオル。」
「…。」
一呼吸置いて、桃城は話しかけた。
「何があったんだ?」
「…桃。私、行くところ無くなった。」
「フられたのか?」
「うん…」
は、タオルに顔をうずくまらせたまま小さく頷いた。
耳が赤くなっていくのだけ見えていた。
「、泣くなって。」
桃城は、膝に腕を置いて泣いているを、そっと腕の中にしまい込んだ。
雨音のみ響く、五月雨の夜に。
「俺がついてる。」
−Fin−
(2005/02/11)