(これはいかんぞ。)

 

rob

 

あと十数分もすればが訪ねてくると言うのに、佐助君が全く言うことを聞かん。

「え、彼女?おじさんの彼女見たーい!」

お祖父様が口を滑らせなければ、大人しくしていたものを…

「おい、佐助君…」

弦一郎が気づいたときには、既に佐助君の姿はそこにはなかった。
ドタドタと玄関の方で音がする。まさか。

「こんにちは。あれ、君は?」
「おじさんの彼女だー!」
「お、おじさん…?」
「コラァ!すまないな。甥の佐助君だ。」
「そうなんですか。弟さんかと思いました。」
「お前が来ると知ってから落ち着きがなくてな…」
「ふふっ、よろしくね佐助くん。」



茶菓子を手に居間へ戻ったら、佐助君がの膝の上に座っていた。

「弦一郎遅いよ−。」
「たわけっ!どこに座っている!」
「わ、私は大丈夫ですから。」
「しかし、客人の膝の上に座らせるなど…」
「佐助くんも懐いてくれてるようなので、ね。」
「そうか…すまんな。」

弦一郎は膝をついて、3人分のお茶を注ぐ。
横目でちらっと見ると、佐助君があっかんべーをしているではないか。

「許さーん!」

笑いながら逃げ回る佐助君と弦一郎の追いかけっこが始まった。

 

−Fin−

 

(2012/08/04)