久しぶりに見上げた空は青く澄み渡っていた。

 

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「ねぇ、どれ食べたい?」
「そうですね…チョコケーキを。」
「食べさせてあげよっか。」
「いいですよ、さんも忙しいでしょう?」

フフッ、冗談よ、と談笑していた昼下がり。
はいつものように家事をこなし、ティータイムで一息ついていた。
天窓から射す陽の光がテーブルに並んだお菓子を一層おいしそうに見せている。
2人分のチョコケーキを皿に載せて、一口目を食べようとしたときにインターホンが鳴った。

「誰だろ?ちょっと出てくるね。」

は確実に油断していた。
宅配だろうと勝手に思い込み、覗き穴から人物を確認せずにドアを開けてしまったのは失態だった。
すぐさまドアを閉めたが変態の足が隙間に入り込み、完全に閉めることができない。

、やっと会えた!僕は君に会いたくて会いたくて、片時も君のことを考えない日はなかったよ。」
「きゃああああああ!」
「そうか、そんなに叫びたくなるほど僕のことを…嬉しいよ、君も同じだったんだね。」
「入って来ないで!」
「何事ですか?!」

の悲鳴を聞きつけたLは、来訪者の顔を見て絶句した。

「ら…月くん?」
「どうしてL、貴様がここにいるんだ!」
「簡単な理由です。さんと婚約したからです。」
「はっ、そんな薄っぺらい嘘はよせ。」
「本当なんだけど…だから帰って!即刻退去せよ!」
…正気か?僕という男がいながら、こんな甘党人間と…!?」
「往生際が悪いですね、月くん。証拠でも見せましょうか。」

Lはを抱き寄せ唇にキスすると、ドアに挟まっていた月の足を蹴飛ばし施錠した。

「既に通報してあります。もうすぐ再逮捕されるでしょう。」
「もう、Lったら。どさくさに紛れて…」
「あれでは物足りないといった顔ですね。サイレンが止んだら続きといきましょうか。」

 

−Fin−

 

(2011/04/07)