確率も役に立たないときがある。例えば、人の心と運命。
peace and quiet
関東大会決勝で立海テニス部が敗れたというニュースは学校中に知れ渡った。
常勝・無敗を掲げてきた彼らにとって、それは許されない出来事だ。
しかし、そんな噂も長くは続かない。
部長の幸村が完全復帰した今、再び負けることはあり得ないと皆熟知しているからである。
この緊迫した空気が取り巻く中で、蓮二はある思いを内に秘めていた。
決して口に出せぬ、ワンフレーズ。
「暗い顔してるけど、どうしたの?」
「次の試合のことを考えていてな。」
「ふぅーん。さてはこの間負けたのが悔しかったんだろ。」
「…そう思うか?」
ここで真実を語るほど、愚かではない。
「はどうなんだ。」
「あぁ、英検?無理無理。あんなの解けないよ。」
「お互い様だな。」
あははと笑ってはこう言った。
「指切りしようか。」
唐突だな。それが彼女らしいのだが。
「蓮二は全国大会で勝つ。私は次の英検で合格する。」
「破ると…」
「食事一回おごってね。高〜いの。」
「了解した。、お前が破るとどうするんだ。」
「えぇ〜。じゃあ、この髪を切ってショートにする。」
互いに口約束を交わすと指切りをした。
俺は心の中でもうひとつ約束をしよう。試合に負ければ、一生に伝えることはないだろう。
情の深い2文字を一言。愛宕白山、成し遂げてみせる。
そう思うと、ひっかけている小指に自然と力が入るのだった。
−Fin−
(2007/12/18)