忍足侑士のバカヤロー!

 

オシタリヒイタリ

 

大阪からいきなり転校なんぞしよって。
テニス部の練習が忙しい言うとるから頑張ってはんねんなぁと思うてた。
せやから、わざわざ大阪から来てやったっちゅうのに。
この状況はどういうことなん?

「あんた、何やっとんねん。」
「ゲッ、。なんでお前がここにおるねん。」
「なんでって、応援に来たら悪いんか?テニス、テニス言うて、私のたこ焼きも食べに帰って来うへん思たら、なんやその女の大名行列は!」
「ち、ちゃうねんて!待ってくれ、な?ま、待ってえな…!」
「待たへんわアホー!道頓堀川放り込んだるー!」

ちょっとだけモテるから?何も連絡を寄越さへんで、自分だけ一人楽しんでる。
どんな手紙が来るのか、電話は何時に鳴るのか、いつ帰ってくるのか、一緒にどこに行こうか。
ずっと期待して待ってた。でもこんな形で裏切られるとは思うとらへんかった。
…悲しいやん。

「スイマセン。ゴメンナサイ。モウシマセン。」
「口では何とでも言えるわな。」

大阪から持ってきた荷物を全部侑士に持たせてやった。
それくらいの罰、当然でしょ?

「そんなに速く歩かんとって。二人分の荷物は重いわ。」
「鍛えてるんやろ?それで許すねんから我慢し。」
「眼鏡ぐらい返してえな。」
「いやや。眼鏡なんか、ない方がええ。」
「眼鏡しとったらどないするん?」
「浮気してる合図と見なす。」

はぁ、と侑士はため息をついた。思い出したかのように大阪のことを訪ねた。

、謙也はどうしとるん?」
「四天宝寺は張り切ってんで。侑士みたいに浮気せえへんし。侑士よりええかもな。」
「せやけど…」

ちょっと嫌みのつもりで言うたのに、何よ。
嫉妬もせえへん人になったん?悲しいわ…

「ねぇ、侑士。別れよっか。」
「何を急に言い出すねん。」
「侑士、感動ないもん。」

「何。」
「俺が何で眼鏡しとるか、分かるか?」
「モテるためやろ。」
「ちゃうわ。他の人とキスせえへん為や。」
「…!ん…はぁ、別れるって言うてる人に普通キスする?」
「別れへん。」
「なっ」

ちょっとの頬が赤い。
侑士にはの扱い方が分わかっていた。この妬いている顔が可愛いのだ。

「かわいいやっちゃなぁ。」
「侑士!抱きつかんとって!重い…!」
「別れるって取り消してえな。」
「わ、わかったから…どいて…!」
「おおきに。」



「なぁ、宍戸。侑士のやつ、道ばたで押し倒してるぜ?」
「忍足のやつ、あの彼女に納豆入りたこ焼きを食わされたんだって?嫌いなもん食わされてよくやってるよな…。」
「え?納豆うまいぜ?」
「岳人、お前だけだ。」
「一度食ってみろよ。」
「ネバネバジューシーな納豆なんて食えるかよ。」
「それにしても侑士に彼女がいるなんて、くそくそ。」

 

−Fin−

 

(2006/08/26)