俺の兄貴は天才だ。
私の妹は可愛い。
俺の兄貴はかなりモテる。
私の妹はモテモテの女のコ。
だからアイツには……
だから彼には……
会わせたくない。

 

俺の兄、君の妹

 

2人は青春台駅の駅前を歩いていた。
2人?それは不二裕太と
聖ルドルフ学院の2年生で仲がよく、同じクラス。
別に付き合っているわけではないが、この日は2人とも家に帰る予定で、家が同じ方向なので一緒に帰っている。

「ねぇ、そういえば不二君って兄弟いるんだっけ?」
「……」

お…怒らせちゃった…?!何かマズイコト言ったかな、私…?
私は妹と不二君を会わせたくないけど……不二君って、兄弟の方と仲良くないのかな…?!
えー…どうしよー……?

「あっ、ごめん言わなくてもいいよっ?!」
「姉貴と兄貴。」

こっ…答えてくれたよ!!でも、本当に何なんだろう……?

は兄弟とかいるのか?」
「えっ…まぁ妹がね。」

そう、私には妹がいる。名前は
街中でモデルに誘われたりするような可愛い女のコ。
まだ中1なのに、よくナンパされるって言ってたぐらい。
は普通の公立中学校に通ってるから、普段は滅多に会わない。

「へー妹か。妹とは…「お姉ちゃんっ?!」

イチバン嫌な展開になってしまった。視線を向けると、前に妹のがいた。
いかにも遊んだ帰りといった格好で、ミニスカにフリフリした服を着てる。

…今日は家に帰るよ。分かったら、先に帰ってて。」
「うん…えっと彼氏さん?」

私の体温が一気に上がった気がした。
顔は赤くなってないみたいだけど凄く暑い。
の奴……何馬鹿なこと言ってるのよ!!

「違う違う。俺はただの友達。」
「そう…じゃあお姉ちゃん、後でね!」

は家のほうへ去っていった。
不二君、普通に友達って言った……。
いや、そーなんだけどね!分かってるんだけど……ちょっとショック…。

「お前の妹さ、結構…「裕太かい?」

後ろから声がして、不二君の声を遮った。
後ろにいたのは、微笑んでいて髪の色が不二君と同じの人。
もしかして…というより、もしかしなくても……

「兄貴っ?!」
「やぁ。帰ってくるといっていたのは今日だったんだね。」
「……どーでもいいだろ!!さっさと帰れよ!!」

ゆ…裕太君が怒ってるっ?!
やっぱりお兄さんだったんだ。
不二君のお兄さんって、かなりモテるだろうな。カッコいいし。

「じゃあ、僕は邪魔になるだろうし、帰るからね。」

不二君のお兄さんは、私と1度だけ視線を合わせてから帰った。
不二君のお兄さんって……目を開けることってあるのかな……??

「…髪の色とか、すごく似てるお兄さんだね。そういえばさっき、何言いかけてたの?」
「あぁ、お前の妹さ、結構可愛いんだなって思って。」
「あ…うん、まぁモデルに誘われたりするらしいし…ね…」

……可愛いと思うのが、そう思うのが当たり前なんだけど……
かなりヘコむ。
好きな人に言われちゃうとね……。

「でもさ……」
「でも…?」
「俺はの方がいいと思うし………好きだ。」

不二君は耳まで赤くなりながら、って呼んでくれて……
しかも好きだ、だって!!!!
私の顔もどんどん赤くなるのが分かる。
私もちゃんと言わなきゃ!!

「私、不二君のお兄さんってカッコいいし、モテるだろうなって思ったの。でもね……」

うつむいていた私は、顔を上げて不二君の目を見て言った。

「私はあなたの方が好きだよ!裕太君!!」

 

−Fin−