甘酸っぱい赤い一粒。

 

o morango

 

ダンテは今日も朝から家にいない。
こんな可愛い女の子を一人おいて、『Freddie』に朝一で行くなんてどうかしてるわ。
悪魔退治の仕事が入らなくて、平和な証拠なのはいいけれど…

「家庭内が平和じゃない。」
「アイツなら仕方ないわね。我慢しないさいよ。」
「薄給でもいいから何か仕事させて?」
「そうね…今はダンテに頼むようなものはないわね。」
「そんなぁ、レディィィー…」

は気落ちして机に突っ伏した。
うーうー唸りながら、ダンテが食べたピザの箱の端っこを千切って千切って、ストレス解消するのだ。
机の上は散り散りになった段ボールの破片が広がっていた。
一緒に置かれた苺のパックがそろそろ隠れてしまいそうだ。
見かねたレディは「う」の字になったの唇に苺を突っ込んでやった。

「んーっ…おいひぃ。」
「家で作ってみれば?」
「ストロベリーサンデーを?」
「そう。」



深夜、家に帰ってきたダンテは部屋の甘い香りに異変を感じた。
キッチンの方から…?いや、違う。
足元に一滴、一滴続く、甘く白い液体。
紛れもなく生クリームと苺の香りが混ざっている。ストロベリーサンデーだ。
道筋は事務所の奥の方へ続いていた。

「…この先か。」

ずっとたどっていくと、道は扉の前で途切れていた。奥にまだ続くのか?ここは…

「おいおい…どういうことだ、。」
「ストロベリーサンデー…スペシャル?」
「Crazy...」

ダンテは思わず頭を抱えた。
ストロベリーサンデースペシャル(通称:SSS)はダンテの想像を超えていた。
クリーム満点、苺たっぷり、容器を飛び出すほどのダイナミックさ。
それもそのはず、がストロベリーサンデーまみれなのだから。

「シーツがベトベトだな。」
「こんなに遅くまで帰ってこないんだもん、仕方ないじゃない。」
「注文した覚えはないが…」

ダンテはコートを脱ぎ捨てるとベッドに同乗した。

「ふん、夜食にはもってこいのメニューだ。」

 

−Fin−

 

(2012/05/05)