「うさぎ飼いたい!」

 

登り坂

 

と言いだしたのは、新春番組を見ていたら沢山のうさぎが出てきたからだ。
理由が単純かつ突発的すぎる。
そんなわけで、年明け早々、俺とは近くのペットショップにいる。

「ようけおるのぅ。なぁ、こっちの猫にせんか?」
「何言ってんの、今日はうさぎに決まってるでしょ!」
「へいへい。」

うさぎを選ぶの目は真剣だ。このまま待ってやってもいいが…

「選んでる間に、ちょっと買い物してくるけぇ。」
「え、あ、うん。」

は視線も逸らさず生返事した。俺そっちのけで、うさぎばっかりやの。



俺の部屋には飼ってきたばかりの赤目の白いうさぎが一匹。
檻の中で鼻をひくつかせてこっちを見ている。
そんなに見られると悪いことできんのぅ。

「可愛い、可愛すぎる。人参食べてる時なんて最っ高…!」
「さっそく親バカしとるのぉ。」
「この顔を見て悶えない人は人じゃない!」

うさぎにすっかりお熱のようで。代わりに俺の熱が冷めきりそうじゃ。
もーいくつ寝るとーお正月、がしたいと思うちょるのに…

、ほれ。」

ペットショップでが選んでいる間に買ったものをビニール袋から取り出し、の頭につけてやった。
ウサ耳のカチューシャだ。

「あ、雅治の分もあるー!」
「しっぽも買ってみたんじゃが?」
「可愛い!一緒につけちゃおっか。」

楽しそうに笑いながら、俺にもカチューシャをつけてくる。腰にテープを巻きつけて、しっぽまで生えた。
思ってたよりもええ感じにドレスアップできたようじゃ。
俺は本題に切りかかった。

「そういや知っちょるか?うさぎは性の象徴なんじゃと。」
「はい?」
「西洋では性的誘惑のシンボルなんじゃと。てことは、今のお前さんは俺を誘惑しとるっちゅーことじゃろ?」
「や、ちがっ…!」
「こんだけウサギに妬かされたんじゃ。俺も早くお前さんの可愛い顔で悶えたいんじゃが?」

 

−Fin−

 

(2011/01/05)

うさぎの登り坂=物事が順調に進むこと