「うさぎ飼いたい!」
登り坂
と言いだしたのは、新春番組を見ていたら沢山のうさぎが出てきたからだ。
理由が単純かつ突発的すぎる。
そんなわけで、年明け早々、俺とは近くのペットショップにいる。
「ようけおるのぅ。なぁ、こっちの猫にせんか?」
「何言ってんの、今日はうさぎに決まってるでしょ!」
「へいへい。」
うさぎを選ぶの目は真剣だ。このまま待ってやってもいいが…
「選んでる間に、ちょっと買い物してくるけぇ。」
「え、あ、うん。」
は視線も逸らさず生返事した。俺そっちのけで、うさぎばっかりやの。
*
俺の部屋には飼ってきたばかりの赤目の白いうさぎが一匹。
檻の中で鼻をひくつかせてこっちを見ている。
そんなに見られると悪いことできんのぅ。
「可愛い、可愛すぎる。人参食べてる時なんて最っ高…!」
「さっそく親バカしとるのぉ。」
「この顔を見て悶えない人は人じゃない!」
うさぎにすっかりお熱のようで。代わりに俺の熱が冷めきりそうじゃ。
もーいくつ寝るとーお正月、がしたいと思うちょるのに…
「、ほれ。」
ペットショップでが選んでいる間に買ったものをビニール袋から取り出し、の頭につけてやった。
ウサ耳のカチューシャだ。
「あ、雅治の分もあるー!」
「しっぽも買ってみたんじゃが?」
「可愛い!一緒につけちゃおっか。」
楽しそうに笑いながら、俺にもカチューシャをつけてくる。腰にテープを巻きつけて、しっぽまで生えた。
思ってたよりもええ感じにドレスアップできたようじゃ。
俺は本題に切りかかった。
「そういや知っちょるか?うさぎは性の象徴なんじゃと。」
「はい?」
「西洋では性的誘惑のシンボルなんじゃと。てことは、今のお前さんは俺を誘惑しとるっちゅーことじゃろ?」
「や、ちがっ…!」
「こんだけウサギに妬かされたんじゃ。俺も早くお前さんの可愛い顔で悶えたいんじゃが?」
−Fin−
(2011/01/05)
うさぎの登り坂=物事が順調に進むこと