7月はまわりも暑くなります。

 

熱気

 

今日はいつもよりも気温が高い。だが、それ以上にあついような気がする。
ふと気がつくとテンテンが見えた。それは、保健室の天井の穴だった。

(あれ?)

さきほどまで黄色いテニスボールに囲まれていたはず。
なんで保健室にいるの?ドリンク運びは?タオル配りは?

「気がつきましたか?先輩。」

ちらっと横を見ると長太郎がいた。十字架がまぶしい。

「チョタ…私なんでここに…?」
「いきなり倒れたんです。先輩が。結構熱でてるんで早く帰って寝た方がいいですね。」
「あ、ありがと。」

長太郎は目を細めたを見て、十字架をとっさに服の中にしまった。

「あー、今なにやっても気持ち悪いかも…。」
先輩、一人で帰れますか?」
「保健室って、明日まで寝てたら怒られるかな?」
「帰れないんですね…。」

近くの椅子に置いてあったかばんを長太郎は担いだ。
は「一人で帰るからかばん置いて」と頼んだが、我慢しちゃ駄目ですよという長太郎の言葉に、しぶしぶ賛成した。

「なんなら、先輩も持ちましょうか?」
「何言ってるの、アホタロー。」
「先輩、元気っすね…。」
「だから、置いていっていいよ?」
「駄目ですよ。ほら、しっかり。」
「う〜ん…」

その日、の母は、格好いい男子がをおんぶして帰ったと大騒ぎだったとさ。

 

−Fin−

 

(2006/01/01)