気になる。

 

Look away

 

先日の席替えからだ。
一番後ろになってラッキー!と思っていると、黒板を見るとき、目の端に必ず写る隣の銀色の髪。
授業中は起きてたり伏せってたりして、髪がチョロチョロ動く。
綿のように、フードについてるファーのようにフワフワしている。
手で感触を確かめたくなるのを我慢しながら、ペンを握って毎日板書きを写す日々。
ふと、文字を書いていたペンが止まった。
いつも髪しか見えてなかったのに、今日は寝顔が目に入ってきた。

(描いてみよう。)

ノートとは別の紙を取り出して、は似顔絵(メインはフワフワの髪)を描き始めた。
隣の席をチラチラ見ながら、髪を一本ずつ描いていく。
髪のハネ具合や毛先の質感を丁寧に写し、似顔絵も完成した時だった。

「さっきから何しとるんじゃ?」

隣から声がした。
はっとして見ると、さっきまで寝顔だった仁王が体勢はそのまま、目だけ開いてこっちを見ていた。

「何回も見よったけん…俺に気でもあるんかのぉ?」
「な、ない!」

はすぐ目をそらして似顔絵を隠し、黒板を睨みつけた。
その慌て様に、仁王はククッと喉を鳴らして笑った。

(頬が赤いぜよ。)

 

−Fin−

 

(2010/12/11)