可愛らしい花が風に揺られて、ウトウトと意識の狭間に生きている。

 

幸福の再来

 

静かになったのは少し前のこと。
先程まで話し込んでいたはずの声がだんだんと頷きだけになっていた。
それが今では言葉を話さぬ花のよう。首を垂れて戦いでいる。

「可愛いな。」

の寝顔をまじまじと見つめる幸村は思わず呟いた。
俺の部屋に咲いた一輪の花。
過ごしやすい気温に、静かな部屋。生育環境は完璧だな。
写真を撮ったら後で怒られるだろうか。見つからなければ大丈夫だろう。
幸村は密かに携帯に写真を残した。背景にでも設定しておこうか。
さて、このままではすぐに起きてしまうかもしれない。
手元にあったブランケットをにかけてあげた。

「…ん」
「起こしてしまったかい?」
「んん…」

起きたかどうかわからないうちに、は再び眠りについた。
それと同時に体勢を崩しかけたところを幸村はサッと支えた。
もたれ掛かったまま寝息を立てている。

「ははっ、これもいいいかもしれないね。」

肩に掛かる重みを感じながら、自らも幸福と共に眠りについた。

 

−Fin−

 

(2018/05/24)