ズシッと肩に重たくのしかかっているものは重要であり、不要なモノでもある。

 

コアラ

 

「どいてくれませんか…」
「やーだ」

日吉の両肩には、先輩の腕と頭が置かれている。
もう少し時と場所を考えて頂きたい。
本を読むだけでも肩が凝る。勉強なんてもっての外だ。
その辺の机で寝ればいいものを、よりにもよって俺のところで…

「…何か言った?」
「なにも言ってませんよ。」

日吉の後ろに座ってくっついている姿は、端から見ると母コアラに背負われている子コアラだ。

「もー、日吉可愛いなぁ。」
「頭を撫でないで下さい。髪型がグシャグシャになります。」
「後で元に戻してあげるから、ね。」
「どいてください。」
「いやー」

と同時に、背負われてる子コアラがいたずらを始めた。
さらさらとした日吉の髪で小さな三つ編みを何カ所も作り始めた。
小さいリボンをつけて飾ると、その姿を携帯で写真に収めた。

「やっ、超可愛い!」
「…帰りますよ?」
「このボタンを押すと、レギュラー陣に一斉送信される。」
「はぁ…」

惚れた弱みにつけ込まれ、ひたすら遊ばれる日吉だった。

 

−Fin−

 

(2013/07/24)