以前から一度ポフッっとやってみたかったんだ。

 

きのこ大戦争

 

標的は目の前。
グッスリお休み中。狙うは今。
でもその前に無防備なその顔を堪能しておきたい。
日吉をじっくり眺めて約5分が経過したころ、ミッションを遂行しようとゆっくり手を伸ばした。
黒丸2つが自分のとリンクする。

「何をするつもりだ?」
「ヒュルルル〜」

とっさにわざとらしい口笛を吹き、慌てて目をそらす。
同時に、ひるんだ手をマッハで突きだした。
しかし、流石は武術を極める者。の攻撃を容易くかわした。

!?」
「起きるな…もう1回寝ろ、日吉!」
「用がないなら放っておいてくれ。」
「アンタが起きさえしなかったら、用事は終わるんだから。」
「用事って何だよ。」
「その…髪の毛触らせて?」
「は?」

日吉が怪訝そうな顔でこちらをみた。
何を言い出すんだ、こいつは。

「モフモフでつるりんキューティクルをお持ちの日吉’sヘッドをポフってやりたいの。」
「…馬鹿かお前は。」
「っ、日吉。減るもんじゃないしいいでしょ!」

ムカっときた勢いで触れようとすればするほど、余計ガードが堅くなる。

「フッ、甘いな。」
「くっそー!」



「おい日吉、時間だ…何じゃれ合ってんだテメーら。」

攻防が繰り広げられるリングに跡部が入り込んで、はようやく攻撃の手を緩めた。
気を利かせて、跡部は教室の外で待っていた。

「今度こそ絶対触ってやるからね。」
「そう簡単に触らせませんよ。」

立ち上がると、日吉はそそくさと行ってしまった。

「もうちょっとで届くのに…」

ヘッドにも、アイツのハートにも。手が届くのは当分先のことらしい。

 

−Fin−

 

(2008/12/12)