以前から一度ポフッっとやってみたかったんだ。
きのこ大戦争
標的は目の前。
グッスリお休み中。狙うは今。
でもその前に無防備なその顔を堪能しておきたい。
日吉をじっくり眺めて約5分が経過したころ、ミッションを遂行しようとゆっくり手を伸ばした。
黒丸2つが自分のとリンクする。
「何をするつもりだ?」
「ヒュルルル〜」
とっさにわざとらしい口笛を吹き、慌てて目をそらす。
同時に、ひるんだ手をマッハで突きだした。
しかし、流石は武術を極める者。の攻撃を容易くかわした。
「!?」
「起きるな…もう1回寝ろ、日吉!」
「用がないなら放っておいてくれ。」
「アンタが起きさえしなかったら、用事は終わるんだから。」
「用事って何だよ。」
「その…髪の毛触らせて?」
「は?」
日吉が怪訝そうな顔でこちらをみた。
何を言い出すんだ、こいつは。
「モフモフでつるりんキューティクルをお持ちの日吉’sヘッドをポフってやりたいの。」
「…馬鹿かお前は。」
「っ、日吉。減るもんじゃないしいいでしょ!」
ムカっときた勢いで触れようとすればするほど、余計ガードが堅くなる。
「フッ、甘いな。」
「くっそー!」
*
「おい日吉、時間だ…何じゃれ合ってんだテメーら。」
攻防が繰り広げられるリングに跡部が入り込んで、はようやく攻撃の手を緩めた。
気を利かせて、跡部は教室の外で待っていた。
「今度こそ絶対触ってやるからね。」
「そう簡単に触らせませんよ。」
立ち上がると、日吉はそそくさと行ってしまった。
「もうちょっとで届くのに…」
ヘッドにも、アイツのハートにも。手が届くのは当分先のことらしい。
−Fin−
(2008/12/12)