「クスッ」

 

健常男子

 

周助が前から見たがっていたラブコメの映画を借りてきてくれた。
内容はB級ものらしくテンポの良い気楽な話だ。
周助のツボに入ったのか、さっきからずっと笑い続けている。
こんなにウケているのは本当に珍しい。

「随分ハマってるね。1度見たんじゃなかったっけ?」
「見たよ。クスッ」

確かに面白いのだけれど…私からしてみれば少しエッチなシーンが多い気がする。
予告で知っていたものよりずっと激しい。
見たいと言ったのは私だし、せっかくだもんね。

?どうしたの、面白くない?」
「ううん、そうじゃなくて、なんていうか、その…」
「刺激が強すぎる?」
「ちょっとね。」
「見ていて恥ずかしいのなら、映画のシーンを真似してみようか。」

周助は真横に座りなおすと、ギュッと私を抱きしめた。
耳元がゾクッとするのを感じた。一瞬、思考がフリーズする。
周助の意図を冷静に考えよう。
この映画を見るのが最初じゃないから…
もしかして、なにかやりたい

「はぁ…参りました。周助がそんなに笑ってたから、おかしいと思った。」
「あれ、バレちゃった?」
「次に出てきたこと1回だけなら…いいよ。それで、私に何をさせたいのかなー?」

3分後、女性の胸に男性が飛び込んでいくシーンが流れた。

(周助、これがやりたかったの!?)

 

−Fin−

 

(2011/12/04)