、誕生日おめでとう!」

 

インターホン

 

眠い目をこすりながらドアを開けると、目の前に月がいた。

「ぎゃああああああああああああああああああ!帰れ、失せろ、顔も見たくない!」
「つれないなぁ。僕は、君がこの世に生まれてきた今日という日を一番最初に祝いたくてやってきたのに…」
「結構です!ていうか、今何時だと思ってるの?午前0時だよ?バカじゃないの?しかもヒトん家の門すっ飛ばして不法侵入してるし…消えろ!」
「愛に時間なんて関係ないさ。それに、僕たちの間にある障害の一つや二つ、どうってことないさ。」
(…そういうことを言ってるんじゃ…)
「そうそう、の為にプレゼントを用意したんだ。受け取ってくれるかな?」
「不必要です。」
「恥ずかしがらなくてもいいよ。ほら!」

月が差し出したのは、何かの鍵だった。

「これは何の鍵?」
「僕らの新居の鍵さ!」
「は?」
「さぁ、おいで。愛の巣へのゲートを一緒にくぐり抜けよう!」
「そ、その前にお別れの挨拶をしてもいいかな?」
「あぁ、もちろんだよ。」

キケン

は携帯を即座に取り出し、ボタンを3回、発信ボタンを1回押した。

「あのー、助けてください。お月さまです。…あ、はい。いつもの場所です。よろしくお願いします。」
「幸せに包まれて苦しいのは僕も同じだよ。」
「うわー、なんか勘違いしちゃってるよこの人…」
「お別れの挨拶も済んだし、そろそろ行こうか。」
「いやいや、行く気ないから。帰って、ホントに帰って!」
「恥ずかしがらなくてもいいよ。僕がエスコートしてあげる。」

月はの手を掴み、家から連れ出そうとしてきた。
そのとき、遠くの方で鳴っていたサイレンの音が耳を劈くほどの大きさになった。
家の前に車が一台止まり、中から出てきた人の開口一番はこうだった。

「…またですか。」
「そうなんです、早くこの変態を連れて行ってください!」
、何言ってるんだい?僕たちは今から新居へ向かうんだよ?」
「さぁ、今日もおとなしく捕まるんだ!」
「離せ!僕は警察庁の人間だぞ!…くっ、離せ!やめろぉぉぉぉ!」

こうして夜神月はもはや何度目かわからない手錠をかけられ、連れて行かれたのであった。

 

−Fin−

 

(2010/04/12)

キモイト誕生。