「ちゃんと祝おうよ。」

 

不二周助5歳

 

誕生日について話を切り出したのはなんだ。なんでも、手料理を作ってくれるとか。
どんなものをつくってくれるのかな。激辛料理だったら嬉しいんだけど。
の家に着くとインターホンを鳴らす。
出てくるまでにある、ほんの少しの時間が僕をドキドキさせる。
ふふっ、楽しみだなぁ。

「やぁ。準備はできてるかな?」
「バッチリだよ。早くはいって、今日はお祝いなんだから!」

はぐいぐいと部屋にひっぱってくる。よっぽど僕が恋しかった?
リビングには色とりどりのおいしそうな料理が既に並べられている。

「ちょっと多くない?」
「張り切り過ぎちゃった。えへへ。」

席に座ると、が僕のためにお祝いの言葉を捧げた。

「誕生日おめでと〜!これで周助は5歳になったわけだ。」
「…正確には二十歳だけどね。」
「さ、食べて、食べて!」
「どれから食べるか、迷うなぁ。」

ジャンバラヤなどのケイジャン料理から始まって、ペペロンチーノ、麻婆豆腐にわさび寿司まで。
流石に僕一人じゃ食べきれないよ。
じゃぁ、まずはこの真っ赤なエビチリからいただこうかな。

「ん、おいしい。」
「周助のために猛特訓したんだから。おいしくて当たり前。」
「味見した?」
「…かなり苦労して。」

キッチンの奥には味見の後に飲み干した牛乳パックの山があるという。
…ホント可愛いね。

、デザートはある?」

大方食べ終わった頃に聞いてみた。

「…考えてなかった。結構量があったけど、デザート食べられるの?」
「うん。」
「何がいい?辛いのは飽きたでしょ。甘いものでも作ろうか?」
「甘いもの…ねぇ…。がいいな!」
「はいぃ?」
「ほ〜ら、早く向こうの部屋に行こう?」
「え、ちょっ、キャッ!」

この5歳児の食欲はやけに旺盛だ。
今度から十分気をつけようと心に決めたであった。

 

−Fin−

 

(2008/02/18)

うるう年前祝い。5歳児の周助はどれほど大人っぽくなっているんでしょう。身長は確実に伸びていると信じたい。