何回やっても理解不能。どういう意味?
そもそもこれって日常生活に必要なわけ?
私に何のかかわりもないんですけど。

 

中和?

 

現在、化学にキレかけているなのです。もう、ムリ。限界。

「雅治ぅ〜。おしえて?」
「俺の得意分野は数学。理科なら蓮二に聞きんしゃい。」
「彼女を他の男のそばに行かせていいのか!浮気したらどうしてくれる!」
「お前さんは100%俺の所に帰ってくる。」

なんとまあ自信過剰なこと。
テスト前だってのに本なんか呑気に読むな、目障り。しかもそれ、前読んでたやつだし。
問題のひとつやふたつ、教えてくれたっていいじゃない。
こっちは妙技・赤点綱渡りを披露してるのに。
自分で問題にトライしてみる…やっぱり駄目。

「中和苦手だぁ…」

シャーペンを放った。この際、どうにでもなれ。
んーっと背もたれにもたれかかって背伸びをしたら銀髪が目に入った。

「痛っ!」
「あ、すまんの。」

全く悪びれた様子もなく、ひどい。

「本読んでたんじゃなかったの?」

時々雅治は奇妙な行動をする。今だってそうだ。いきなりのぞき込むな。

「教えちゃろうか。」

雅治はニヤリと微笑んだ。

「中和。」
「ホント?」

机に転がったシャーペンを持ち直すと問題冊子を広げる。

「えっとねー、ここなんだけ…んっ」

不意打ち。
雅治の舌が口内に侵入してきた。急に息ができなくなって苦しい。

「ん…っ!ぷは…っ。」

突然のことで鼓動が高鳴ったままだ。

「うそつき。」
「嘘はついとらんぜよ。」
「どうして?」
「『チューは苦手』なんじゃろ?」

してやられた、と感じたであった。

 

−Fin−

 

(2007/12/16)