「なんじゃ、悩みでもあるんか。遠慮せんと言いんしゃい。」
「そうですか…ではひとつだけ聞いていただけますか?」

 

カタリシス

 

めったにない柳生の頼みは恋愛相談だった。相手は俺と同じクラスの

「告白したいのですが、タイミングがつかめなくて。そこで、経験豊富な仁王くんにアドバイスしていただこうと。」
「経験豊富は余計じゃ。」
(確か、あいつも風紀委員だったな)

何度かの検問にひっかかったことがある。
あいつはまじめでお堅いから俺はあまり好かん。
俺は柳生に出来そうなことを2,3教えてやった。



数日後、教室の扉を開けてを呼ぶ柳生がいた。しかも下の名で。きっと成功したのだろう。
は机の間をすり抜けて彼の元へ向かう。
今まで見たことのないあいつの表情。柳生が引き出したものは、いったい何だ?
俺には柳生が手を振ってきたことに気づく余裕がなかった。



「ねー、雅治。今日はどこいくの?アタシの家こない?」
「…ん?あぁ、今日は用事があるんでな。すまんの。」
「最近つきあい悪いよ〜。」

つきまとってくる女子にのような色合いを出すやつはいない。
気がつくと、教室を動き回るあいつを目で追っていた。
あいつを見ていると不思議と心が落ち着くからだ。

(…好いとるんじゃろか。)

手を伸ばしても、彼女の残り香しか掴めない自分を酷く恨んだ。

 

−Fin−

 

(2008/12/15)