こめかみから流れた汗が首の方へ伝っていった。
バンプ!
太陽はジリジリと照らし、肌が黒く焼かれているのがわかる。
日陰のないテニスコート。砂漠のような砂地はさらさらと、既に水気を失っていた。
「あっついなぁ…」
「もう一本いくで!」
意識が一瞬とんでいる隙に、無駄がなく且つ鋭いサーブがコートに突き刺さった。
「なっ…!?」
謙也はワンバウンドしたボールをすぐさま打ち返すと、白石よりもさらに後ろ、
フェンスの向こう側にこちらをじっと見ている人影を見つけた。なんや、か。
「…!?」
「あ、危ない謙也!」
鈍い痛みが走る。思わず頭を抱えてうずくまった。
「いっ…たいわ!頭割れそうや…」
「謙也、すまん。」
「いや、白石は悪くない。俺がボーっとしてたんが悪いんや。保健室行ってくるわ…」
謙也は出来たてのたんこぶを頭に乗せつつ、テニスコートからいそいそと立ち去った。保健室の方向には確か…
ぐるりとコートの周りを半周すると、キンキンに冷えたスポーツドリンクを飲んでいるが突っ立っていた。
「謙也、どんくさー」
「お前がおったから気ぃ散ったんや!」
「暇やから見てただけやのに…しゃーないから御いとまするわ。おだいじに!」
は飲みかけのペットボトルを謙也に渡して、自分の部活へ戻っていった。
「大きなお世話や。」
熱を持ったたんこぶにペットボトルを当てたら、心なしか風が涼しく感じた。
−Fin−
(2011/10/14)