横では、スースーと寝息を立てている周助が居る。
BED
「普通に寝るな。」
先程のいつもと違う、強引なキスの感触の余韻がまだ頭に残っているままだ。
最近、周助は冷たい。中学三年生のせいもあるが、周助自身のせいもある。
今年は受験(といってもどうせ青学だが)で忙しいというのに、Jr.選抜に選ばれ、全然かまってくれないじゃない、というと強引すぎるキス。
「これでいい?」
と言い放ってからベッドに横になる。周助本来の笑顔が消えてるのではないかと、そのとき感じてしまった。
なんだか冷たいその背中。
心細いから、そっと、周助の横で添い寝をしてみた。そうしたら、私が周助に告白した日のことを思い出した。
その日、周助からOKをもらうと、そのことをすぐさまに言ったんだっけ?
そのことを聞いたらは
「あの、不二級ハイランドとか不二家とか不二っ子のおまめさんとか不二山とか不二棚とか不二身とか不二色とか不二子ちゃんとか不二袴とか言われるあの不二に告っただと?!」
と、思い切り言われたので思わず
「不二の病だから。」
と言い返したりしたんだっけな。
そんなことを思い出していると、添い寝中だから静かにしないといけないのに、堪えきれなくて笑ってしまった。
そうすると、スースーと寝ていた周助が起きてしまった。
「、僕の後ろで寝てたの?…それより、何笑ってるの?」
周助に、不二の病話をすると、周助も思わず笑っていた。
「へぇ、そんなことがあったんだ。不二の病か。まだ治ってないね。」
「治ったら困るんじゃないの?」
「そうだね。困るね。あ、そうだ。さん、お薬ですよー。」
−chu−
周助の不意打ちに、驚いてものも言えなかった。
「あ、今のは病を重くする薬だったかな?」
「…。」
「あれ??」
なぜだかムッときたので、このままふてくされてやろうと思った。
しばらくすると、周助はベッドの上で意外な行動に出た。
「ごめんね。」
「え?」
「最近かまってあげられなくて。さっきのことも。この頃、いつも以上にのこと考えてるんだけど、やることは全部正反対になってさ。」
「別にもういいよ。それより、周助…」
「何?」
「笑顔でいてね。」
「あぁ。」
周助はおでこにもう一錠薬を投与した。
−Fin−
(2004/08/12)