うまく笑えていないのは自覚している。

 

At times nicely,at times strictly

 

先日から、薄々気づいているかもしれない。彼女には、今はあまり接してはいけないのだと。
こちらも思いきり抱きしめたいのは山々だが、そうしていると、彼女の為にならない。
わかってはいるのだが、少し遠ざけただけでは向こうも黙ってはいなかった。

「ねぇ、蓮二。私を避けてる?」
「そういうつもりはないが…」
「嘘。」

普段の行いが悪いからか、既にバレているようだ。
ここでシラを切ったところで、関係が悪化するだけだろう。ここは正直に話すことにした。

の為だ。」
「どこが?」
「俺は知っているぞ。先日のテストの点数を。」
「うっ」
「あれは数学だったな、違うか?」
「なんでそれ知ってるの…誰にも言ってないのに!」
「俺に隠し事はできない。」

事実とは非情なものだ。知ってしまっているか否かでこうも表情が変化する。
怒りの表情がころりと一変し、焦りに変わったかと思ったが、どうやら諦めの境地に達したようだ。

「はいはい、勉強しますよ…大人しく。」
「補習が終わるまで、何もしないぞ、’何も’だ。」
「ご褒美くらいあっても…」
「褒美は、褒めた印に与えるものだ。全てが終わってから、な。」

 

−Fin−

 

(2016/12/26)