私は毎日だまされます。
an old fox
仕返しも出来ないんです。どうもうまくいかない。
彼氏曰く、『単純』すぎるらしく、いつもイライラのパラメータが上昇します。
そんなこんなで今日は12/3…次の日は12/4、ということは彼氏の誕生日!
そう!詐欺師のお生まれになった日!な、何にも買ってない。
昨日、自分の全財産をお菓子に費やしてしまったんだった…
こういうときは、あいつよね!
「ジャッカルー!ちょっと相談にのって。」
「な、なんか嫌な予感がするんだが…どうしたんだ?」
「俺にも聞かせてくださいッスよ。」
「あら、赤也いたの。」
自分のことで赤也の存在に全く気がつかなかった。
よく見ると机の上には中二の教科書がある。英語だ。ジャッカルが指導中だったのか。
「別に赤也の英語力アップの為よりは、私の悩みの方が重大よね。」
「な、なんすか!その言い方は!」
「まぁまぁ。それで悩みって何だ?」
カクカクシカジカ
「俺の英語力の方が重大…「で、お金貸して?」…」
ジャッカルは困惑していた。
(俺は、こき使われるだけでなく、とうとうお金まで貸し借りをさせられるまで落ちぶれたのか…。
いや、待てよ。もしかしてこれは立海における人種差別か…!?気付かれず、悟られず、実行されていたのか…!?)
かなり末期症状である。
「先輩、こんなのどうッスか?」
困り果てたジャッカルをよそに、赤也は提案した。
「仁王先輩のしっぽ(髪)を切ったら5000円貸すんです。ジャッカル先輩が。」
「おい、俺かよ!…俺だな。」
相談を受けたのは確かに自分だ。
ジャッカルは人の髪をすんなり切れるものでもないのだからと安心した。
「、ところで何を買うつもりなんだ?5000円も仁王に貢ぐのか?」
「み、貢ぐとは失敬な!!…最初は安眠枕でも買おうかと思ってたんだけど、せっかくだからもうちょっと良い物でも買おうかと思って…。」
はもう既に切ったつもりでいる。
(こいつ、容赦ねぇな…俺の5000円はどうなるんだ?)
「まず、切ってから考えるべきよね!」
は思考を転換した。
*
仁王のさぼり場は大体把握している。何をしているかも知っている。
睡眠タイムに入っておられるのだ!(極秘調査より)
以外の人が近づくと仁王は必ず起きるので、赤也とジャッカルはそばで待機した。
ゆっくりとしっぽをつかみ、はさみをかまえる。髪の束は一気には切れない。
(ホントにあいつ、切るつもりか!?)
(ちょっとジャッカル先輩、今出ていったら反則っすよ!)
(俺の5000円がかかってるんだ!構うもんか!)
ジャッカルは赤也の制止を振り切り、飛び出した。
(このままじゃ起きちゃう)
は意を決した。
「えい!」
バサッ
両手ではさみを握ると、しっぽは見事に切断された。と同時に仁王は起きた。
「…?どうし…は?」
切られた残骸を見て仁王の思考回路が一瞬止まる。飛び出したジャッカルと赤也が駆けつけてきた。
ジャッカルの目の前にはしっぽが既に散乱していて、もう元には戻せない状態だ。
「本当に切っちまったな。」
「そうッスね…」
「え、ホントに切ると思ってなかったの?」
「「あぁ。」」
は半分、欺された気分である。
閑話休題、約一名忘れられています。
「これはどういうことじゃ?説明する必要があるじゃろ?」
「あ、ごめん、雅治!断髪したらジャッカルが5000円くれるっていうから…」
「おい待て、俺はあげるとは一言も言ってないぞ。」
「ほう、髪を切れとは言ったんやの?」
「い、いや待て仁王。それは赤也が…!」
「え、ちょっ、ジャッカル先輩!」
「二人とも俺以外の奴がを欺すとどうなるか知っとるんやのぅ?」
しっぽのない仁王は、いつもより一段と怖いオーラを発していた。まさに『仁王』である。
「「こ、殺される!!」」
*
仁王の裁きが下った後、はペコペコ謝っていた。
「ごめんね、プレゼント買いたかっただけなの。」
「俺以外の奴を信じたらいかんぜよ。」
「いつも欺すくせに。」
「髪までは切らんぞ?」
「うっ…」
明日は美容院デートになりそうです。
−Fin−
(2007/11/19)