「どこや?どこいったんや?出ておいで、ちゃーん!」

 

The Center for Lost Cats

 

白石は迷っていた。
右に行くべきか、左に行くべきか。いやいや、この場合迷子はだろう。
気付いた時には腕をすり抜けて隠れてしまったのだから。



「こんな人気のないところまで連れてきて、どういうつもり?」

私はテーマパークにデートに来たはずなんだけど。
誰も通らない通路の間をくぐり抜けた先は、路地のどん詰まり。
冷たい壁を背にすると、ここは…蔵ノ介のアトラクション?

「理由なんてひとつしかないやん。」

蔵ノ介は親指での唇をなぞると、そのまま顎をクイッと引き寄せてキスを落とした。

「んっ…!」
「可愛いなぁ、は。ジェットコースターみたいにもっとドキドキする方がええか?それとも、観覧車みたいにロマンチックなんがええか?」
「普通のデートでいいっ…んっ…ひゃっ!」

蔵ノ介の両腕が服の中へ侵入してきて変な気分。
手の触れている背中が途端に熱くなる。このままじゃ、登り坂を超えた滝壺ルートになってしまう。

「パレードみたいに、駆けまわる方がいい!」
「おわっ…!?」

は蔵ノ介を押し退けて元来た道を駆けていった。

「ちょ、ちょい待ちぃやー!」

分かってへんなぁ、
パレードにはな、終わりがあるんや。きちんと倉庫に収納されへんと迷子になってまうで?

「ゴールまで走っていくのがパレードや。ー!はよ回って俺んとこに来ーい!どこや?どこいったんや?出ておいで、ちゃーん!」

 

−Fin−

 

(2011/08/19)