時折響いてくる声に耳を傾ける。
Judge Voice
少し陰ってきた空に感謝する。日中の日射しはじわじわと体力を奪い去ってゆく。
そんな中、ハードな練習を着々とこなしていくテニス部員には本当に頭が下がる。
遠くの方で、打ち込みをやめた下級生がコートから次々に出ていくのが見えた。
各コートの周りを取り囲み始めている。練習試合が始まるのだ。
「今日の組み合わせ、楽しみッスね。」
「あ、リョーマ君。誰と誰が試合するの?」
「部長と大石先輩。」
「へぇー、珍しいね。」
コートに目をやった。テニスボールを2,3度バウンドさせ、手塚部長はトスをあげる。
対する大石副部長は少し肩に力が入っているような気がした。いつもの表情とは違い、真剣そのものだ。
そして…
【15-0】
「リョーマ君。作業残ってるから、途中経過を後で教えてくれる?」
「先輩、いいんスか?行っちゃって。」
「え?」
「ほら、あそこ。」
「あ…」
【30-15】
静まりかえったテニスコートに響き渡るボールの音、地面と靴が擦れ合う音、選手の息づかい。
そして、声だ。
透明感があり、それでいてコート内に通る声。普段よりも力強く放たれる言葉に魅了されていた。
「不二先輩が審判っスよ。」
「…ちょっと、先輩をからかうな!」
「親切で言ってるだけ。」
「別に不二先輩のことが好きとかそういうわけじゃ…」
「ふーん、好きなんだ。」
「う、五月蠅い!」
【外野は静かに。】
「すいません!」
審判の声が越前とに向けられた。
恥ずかしさのあまり、はその場から逃げるように走り去った。
【ゲーム手塚1-0】
−Fin−
(2012/06/17)
DrivingSmash!の審判の声が変更できるところから。