視線がぶつかっただけで戸惑ってしまう。
Hi
それだけで声が出なかった。
硬直した顔を無理やり動かして、笑顔の作成を試みたこともある(失敗したが)。
やること何一つうまくいかない。話しかけるなんてもっての外。
一年目の誕生日はその日を知ることだけで終わってしまった。
「さん、おはよう。」
「え、あ、こん…おはよう。」
「クスッ」
授業の準備をしていたら、唐突に挨拶されてしまった。
言い間違えるという失態も混ざって、顔が火照って紅くなる。
二年目の誕生日は遠くからただ眺めているだけだった。
なんの変哲もない、私にとってはあるいつもの朝。
「やぁ。」
「あ、おはよう不二君。」
「さん、僕に渡すものはないのかな?」
「渡すもの?そっか、今日は誕生日だね。不二君はいつもたくさんもらってるから、私からもらわなくてもいいんじゃない?」
「僕、ほしいものが1つだけあるんだ。」
「それは…何?」
「さん。」
三年目の誕生日はプレゼント"した"のか、それとも"された"のか。
「…そんなこともあったなー。」
「で、今年は何かな?すごく楽しみにしてたんだ。」
「えっと…それは…」
「まさか、忘れたわけじゃないよね?」
「ヒィ!」
−Fin−
(2010/02/27)
周助誕生日前祝い。