暗い底へ時折吸い込まれそうな感覚に陥る。

 

Ride on

 

レオンは私の腕をきつく握ったまま離さない。私の気持ちを察したのだろうか。

「痛い。」
「これくらいしないと心配だ。」

私を拘束するのも無理はない。は目を閉じるとレオンにすがった。

「早く電車来ないかな。」



ろくなことが無い。
生きていても、邪魔者扱いにされるだけ。
クズと罵られ、ストレスのはけ口に蹴飛ばされる毎日。
真面目に生きてきたはずなのに。
もう疲れた。
人間なんてやめてやる。
ブォンと電車の音がした。

幸せを告げる素敵な音色。


プラットホームは薄暗い。
地下鉄だから仕方ないが、ヒトではない何か別の生物が現れはしないかと思うときがある。
B.O.W.にときめいている俺(勿論悪い意味でだ)…泣けるぜ。
可愛い子から出動要請がくるはず…ないか。
レオンのため息はブォンと耳障りな音にかき消された。
電車が来たかとそちらを向くと、ちょうど人が線路に飛び降りていた。

「!?危ない!」

電車は何十秒も経たないうちに到着する。レオンは走った。
線路へ下りると、人のすぐ後ろに電車が迫っていた。

「避けるぞ!」
「…え?キャァッ!」

レオンは人を抱え、ホーム下の穴へ滑り込んだ。


喜び。

目の前にその光が見える。
もうすぐ私はという不幸なこの人物から解放される。
ヘヴンが自分にとって本当の居場所。
さぁ、早く私を連れていって。

「避けるぞ!」

誰?私を幸せから遠ざけようとする人間は。
私が憎いなら、もう放っておいてよ。
すぐに消えてあげるから。

「なんで邪魔するのよ!離して!私を死なせて!」

ベシンッ

一瞬、何が起こったのかわからなくなった。
頬が熱い。
時を追うにつれ、ジンジンとした痛みを感じた。ビンタ…?

「命を粗末にするな!」
「あなたに何が分かるっていうの?何にも知らないくせに、邪魔しないで。私を幸せにできるわけじゃないでしょ?」
「じゃぁ…幸せにしてやっても、いいぞ。」
「えぇ?」



。」
「なぁに?」
「今、幸せか?」
「さぁ。」

向こうから明るい光が射した。

「あ、電車きたね。」
、はぐらかすなよ。どうなんだ?」

レオンにおでこをツンツンされた。でも、答えてあげるつもりはない。

「キスしてくれたら教えてあげる。」

 

−Fin−

 

(2011/06/26)

バイオ4・マーセナリーズのレオン・リザルト画面から妄想して書いてみました。