暗い底へ時折吸い込まれそうな感覚に陥る。
Ride on
レオンは私の腕をきつく握ったまま離さない。私の気持ちを察したのだろうか。
「痛い。」
「これくらいしないと心配だ。」
私を拘束するのも無理はない。は目を閉じるとレオンにすがった。
「早く電車来ないかな。」
*
ろくなことが無い。
生きていても、邪魔者扱いにされるだけ。
クズと罵られ、ストレスのはけ口に蹴飛ばされる毎日。
真面目に生きてきたはずなのに。
もう疲れた。
人間なんてやめてやる。
ブォンと電車の音がした。
幸せを告げる素敵な音色。
プラットホームは薄暗い。
地下鉄だから仕方ないが、ヒトではない何か別の生物が現れはしないかと思うときがある。
B.O.W.にときめいている俺(勿論悪い意味でだ)…泣けるぜ。
可愛い子から出動要請がくるはず…ないか。
レオンのため息はブォンと耳障りな音にかき消された。
電車が来たかとそちらを向くと、ちょうど人が線路に飛び降りていた。
「!?危ない!」
電車は何十秒も経たないうちに到着する。レオンは走った。
線路へ下りると、人のすぐ後ろに電車が迫っていた。
「避けるぞ!」
「…え?キャァッ!」
レオンは人を抱え、ホーム下の穴へ滑り込んだ。
喜び。
目の前にその光が見える。
もうすぐ私は・という不幸なこの人物から解放される。
ヘヴンが自分にとって本当の居場所。
さぁ、早く私を連れていって。
「避けるぞ!」
誰?私を幸せから遠ざけようとする人間は。
私が憎いなら、もう放っておいてよ。
すぐに消えてあげるから。
「なんで邪魔するのよ!離して!私を死なせて!」
ベシンッ
一瞬、何が起こったのかわからなくなった。
頬が熱い。
時を追うにつれ、ジンジンとした痛みを感じた。ビンタ…?
「命を粗末にするな!」
「あなたに何が分かるっていうの?何にも知らないくせに、邪魔しないで。私を幸せにできるわけじゃないでしょ?」
「じゃぁ…幸せにしてやっても、いいぞ。」
「えぇ?」
*
「。」
「なぁに?」
「今、幸せか?」
「さぁ。」
向こうから明るい光が射した。
「あ、電車きたね。」
「、はぐらかすなよ。どうなんだ?」
レオンにおでこをツンツンされた。でも、答えてあげるつもりはない。
「キスしてくれたら教えてあげる。」
−Fin−
(2011/06/26)
バイオ4・マーセナリーズのレオン・リザルト画面から妄想して書いてみました。